• 坂田雄亮

    京都オステオパシーセンター オク治療室 代表

さて、前回の腰痛編に続き、今回は内臓編です。

子育て中のお母さんの中には、膨満感、便秘、逆流性食道炎、、、etc…といった、内臓からの症状を訴えられる方が非常に多く見受けられます。

実はこれも抱っこと大きな関係があるんですよ!

 

前回のよくありがちな抱っこの仕方を今度は後ろから見てみます。

 

片手で肋骨を横にスライドさせて抱っこしているので、この抱き方を『肋骨抱っこ』と呼ぶことにします。
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この「肋骨抱っこ」もほとんどのお母さんが行ってしまっていると思いますが、この「肋骨抱っこ」と内臓の不調は深い関係があります。

 

順を追って、これから解説してみたいと思います。

 

ほとんどの方が右利きですので、右側の骨盤の上にお子さんを抱っこされています。

写真のように大きく重心を左に移し、右側の肋骨は凹、左側の肋骨は凸となり、背骨には側わんが生じています。

 

背骨は内臓と脳、自律神経との連絡路になっていますので、オステオパシーやカイロプラクティック、整体でも非常に重要に重要な治療のポイントとなります。

 

下の図は交感神経系と内臓との関連を示したものですが、このようにすべての臓器と背骨は密接に関係しています。

Sympathetic nervous System

交感神経は自律神経であり、よくテレビなどで「交感神経優位」などと、悪者扱いされる神経です。

交感神経が悪いわけではなく、拮抗的に働いているはずの副交感神経よりも、働き過ぎてしまうと、腸では便秘として、胃では粘膜の荒れとして症状が出てきてしまうのです。

 

お母さんの訴えられる症状は様々ですが、特に便秘と胃のムカつき が多いように見受けられます。

日に何時間も抱っこを続けていると、抱っこをしていない状態でも、背骨に側わんが見られるようになります。

 

 

また肋骨には横隔膜が付着しており、この横隔膜には食道裂孔という、食道の通り穴も開いていますので、「肋骨抱っこ」をによって横隔膜も歪みが生じ、食道裂孔にも捻れてしまうのです。
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そしてこの図をみてもらうとわかりますように、横隔膜の上には心臓が乗っかっているため、症状が進むと原因の分からない不整脈動悸息切れとも関連してくるのです。

 

便秘薬や胃薬を飲んでも、いまいち改善しない人も多いのですが、それはこのような肋骨抱っこによる影響で背骨に歪みが生じ、内臓に不調をもたらしていることがとても多いのです。

オステオパシー治療を行うと、ほとんどの症状に改善が見られるのですが、体質的な問題やこの肋骨抱っこ癖がどれくらい続いていたか?などによって反応に時間がかかる場合もあります。

また、治療をしても、同じ「肋骨抱っこ」を続けてしまうと、同様の症状をぶり返してしまいます。

 

 

「肋骨抱っこ」の写真に横隔膜と背骨に歪みを書いてみました。

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背骨の湾曲が一番きつく出ていて、上半身の重みがかかっているところが、オステオパシーでは「便秘のセンター」と言われているところで、ここには子育て中のお母さんのほとんどの方に問題が見られます。

便秘が生じやすいのもなんとなくご理解いただけるかと思います。

 

症状がそれほど長く続いているわけではなく、軽い場合は治療をしなくても、前回の抱っこ方法を意識するだけで、症状が軽い方はそれで改善できるかもしれません。

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ぜひとも「ものは試し」と、一度試してみてください。

次回も、もう少し抱っこのコツや手首の痛み(腱鞘炎)の原因と予防などについて書いていこうと思っています。

 

 

この記事の著者
坂田雄亮 京都オステオパシーセンター オク治療室 代表

京都市中京区でオステオパシーという治療法を行っています。 「症状を治療するのではなく、その原因を考える」ことをモットーにしています。 オステオパシーを中心に、整体やカイロプラクティック、運動療法など様々な視点から治療とアドバイスを行っています。